夏の記録:18へええここ自販機なんてあるんだー、知らなかったなあ、あーまあそりゃあるか合宿施設だもんね。でもあの跡部ちょんの所有物(かは知らんが)だから自販機なんて庶民的な物置いてないかと思った。あ、おしるこあるじゃん買っちゃおうかなふへへへイテ。え、何。「…よくもまあべらべら独り言が言えるもんやな」 ラケットヘッドでまさに私のヘッドを後ろから押してきたのは今朝あった子だった。私の記憶が正しければその少年は、確か反骨精神丸出し四天部員そのDくらいにインプットされていたピアス男である。彼は首でクイッとあっちいけと追い払う様に私を見つめる。むかちーん。何だね君その態度は。君確か中二だっただろう。ふははまさに中二病っつうわけね。 「ああ、ところでアンタ先輩?」 「おうおう言ってくれるね村人そのD」 「誰がや」 「お前や」 「殴られたいんですか。ラケットで」 「いいえ」 ぐりっとラケットを私の頭に押し付けたから慌てて首を振った。暴力はいけないよ。ね。私はいい子だからラケットをお貸し、と頭に当てられるそれを掴もうとしたら、手を打たれた。ホント生意気だな。おいこの村人D。 「とりあえず自販機の前に立たんといてくださいよ」 「あーあーすーいませんねー」 「…うっざ」 聞きました?うざいですって。最近の若者がこんなだから日本語の乱れとか言われるんだよ。チッと舌打ちして見せた私はそこから退かずに自販機にお金を入れる。あれだね、夏におしることか勇者だよね。でも買う。そして私は勇者となる。 おしるこを取ってぐびぐび飲んでいると村人Dが無茶苦茶見てきたからえ、何?と缶から口を離す。 「…アンタもそういうの飲むんやな」 「まあ、これ飲み過ぎて一回倒れたけど。村人も好きなの?これ」 「村人言うなや」 「だってお前、名乗らないじゃないか!」 「一日目の開会式で名乗ったやろ」 「私だって名乗ったさ!」 「何なんアンタよく分からん」 彼は私を押し退けると、自販機に手を伸ばした。彼もおしるこを買う。ふうん、ホントに好きなんだなあ。ねえねえ、と声をかけると近くのベンチに座った彼はちらりと視線だけ私に向ける。うわ何かうざ! 「偉そうね、君。まあ私大人だから謙虚に聞いてやるけどさあ。お前の名前を教えやがってくださいよー」 「どこが謙虚」 あああもう何でも良いから早くしろよ私これからマネージャー仕事やんないといけないんだから。いらいらを全体で表現していると「ふいに財前ー」なんて蔵石君が誰かを呼ぶ声が聞こえた。財前?私はだけど名前間違えたんだねはっずかし。 「俺の名前だって思えないとこがあほやな」 「へえ君の名前なんだ。おっけ、覚えた」 んだば私は戻ろうかいね、とおしるこの入ってない空の缶を彼に託し(おい、なんて文句を垂れる財前はほっといて)立海の練習場所まで戻ろうとすると、近くにいた丸井と目があった。 「あ、丸井だ。財前、あれがうちの天才だよ」 「はあ、」 丸井にこっち来いと手招きする。だけど彼はぷいっとそっぽを向いて歩いて行ってしまった。えええー…? 「仲悪いんやな」 「えーそうだったかな。丸井はきっと多感期なんだな。仕方ない、ツイッターの皆に相談だ。牛乳に相談だ」 「…」 マジ疲れるわアンタ、と呟いた彼は丸井と同じく多感期なのか私を置いて練習に戻って行きやがった。 まったく、薄情だな。 理解には程遠い (…へえ、ツイッターやってるんやな) ←まえ もくじ つぎ→ ---------- お久しぶりですぐだぐだでスイマセン。 110605>>KAHO.A |