夏の記録:03失礼するぜよなんて理由無しに仁王のマネして、堂々と職員室に足を踏み入れた瞬間またお前かと、丁度そこにいた担任に名簿みたいな固い板で頭をぼこんと叩かれた。いてーよー。「何だいミスターはくちょう」 「『しらとり』だっつってんだろ」 「あいたっ」 今度はもっと強く叩かれた。二回も。まったくね、やめてほしいよね。 朝コンビニで買ったおにぎりとから揚げを職員室の電子レンジに入れる。温まるのを待っていたらミスターが、本来職員室は生徒が入っちゃいけねーんだぞ、なんてため息をついた。 「な、何だよ。そうやって私だけいつものけ者だもんな」 「もうお前出てけ」 「うええ、いやまだおにぎり達が」 あと、1分待ってねとかウインクして可愛く言ってみたらその瞬間温め停止ボタンを押されてぬるいおにぎりとから揚げを渡された。極悪非道だ。唇を噛み締めてミスターを睨んでいると、やかん先生がガラガラと職員室に入ってきて、おいまた電気泥棒が来たのか、なんて苦笑した。 「先生、電気泥棒が、奴が今日も来たそうですよ。私は構わずにどうぞ。今のうちに温めちゃうから、うん、ほんと捕まえに行っていいよ」 「お前の事だよ」 「あうち」 まったく何回殴れば気が済むんだい!?言っとくが私はMじゃないぜ!ソノちゃんがMらしいぜ! とりあえずある程度温めるという目的は達成したから今度は冷蔵庫まで行って中からペットボトルを取り出す。また殴られた。 「冷蔵庫まで乗っ取る気か」 「人聞きの悪い」 ちょっと借りただけですと頬を膨らました時、丁度が職員室にやって来て、ミスターはそんなに私を押し付けた。持って帰ってくれと。え、何私にお持ち帰りされるのうへへ…冗談です。 職員室から投げ出された私はいじけたままおにぎりにかぶりつく。はどうやら私を探しに来たようだったからそんな私を見て苦笑し、歩きだした。 「あんまり迷惑書けちゃ駄目だよ?」 「うええい」 ぼてぼてと歩きながらそんなやり取りをしていたら、私はふと合宿の話を思い出した。のクラスであるC組について、彼女の隣の席に腰を下ろした私はお手伝いの仕事をに持ち掛けてみる。 「あー…やりたいのは山々なんだけど、私もその日部活の合宿で…」 えーそんな部活辞めてしまうがいいよ、とは言えずに仕方ないとしょぼくれてみた。しょぼしょぼ。 そうしたら上からブッサイクな顔ね、なんて声が降ってくる。ソノちゃんだった。 「いや、君には負けるよ」 「アンタ殺されたい?」 「じょ、じょーだん。マイケルジョーダン」 「…」 睨まないでね、幸村とか…ああ、テニス部の人全員そうだけど綺麗な顔で睨んでくるのとかマジ怖いからね。 機嫌を取るべくへらへらと笑っていたら私は、ソノちゃんは合宿に参加してくれるだろうかと思いながら彼女のの腕を掴んだ。 「君さ、夏休みどうせ暇だろ」 「どうせってなんだけ喧嘩売ってる?」 「よっ、この暇人!」 「爆ぜろ」 ごめんね、ついだよ、つい。別にけなすためにこんな事聞いたんじゃなくてさあ。まあ座り給えと床に座ることを勧めたら蹴飛ばされて椅子から落とされた。代わりにそこにソノちゃんが座る。 何かあの一件からソノちゃんアクティブになったよね。彼女曰くどうやら今までいい子ちゃんで優等生ぶってたけど飽きたから辞めたんだって。ふうん、どうでもよ。 「あのね、実はソノちゃ」 「ヤダ」 「…早いよ」 普通なら「ソノちゃんに頼みたい事があるんだ」「ヤダ」のやり取りになるはずだ。いやはやこの子は漫才に向いてないね。とか丸井とか、ああ、あとまあ幸村辺りにツッコミの弟子入りすれば良いのに。マリコと一緒にさ。 「テニス部には関わりたくないわ」 「ええ、合宿について来るだけだよ」 「嫌よ。私をこき使うなんて良い度胸ね」 「使われるのが嫌なら使っちゃえば良いよ、肩でも揉ませちゃえ」 何としてでも私の負担軽減のためのお手伝いを連れていきたい私は指ぱっちんの人主催だからご飯はキャビアとかフカヒレが出るよとか適当な事言ったら彼女はまんまと食いついてきた。 よし、チョロイ。 後は幸村達の了承を得るだけ。 ペラペラと嘘 (幸村が何て言うか)(怖い) ←まえ もくじ つぎ→ ---------- ソノちゃん合宿参加暫定決定。 110321>>KAHO.A |