夏の記録:01最近やかん先生が私に対して厳しくなったような気がする。だって今日なんか目が合っただけでやかんを渡された。つまり廊下に立ってろって意味。何だよ、ちょっと早弁してただけなのに。廊下で待つのも嫌だから保健室に向かった私は勢いよくドアを開けた。 「せんせー、頭痛いお腹痛い全部痛い」 「君の存在が痛いはい退場ー」 「えええ、どえええ」 ひでえ。保健の先生はマジで私を追い出そうとするから先生の腕にしがみついてやった。うわっしがみつくなこのコアラが!なんて悪態つかれたが気にしない。 一時間くらい休ませてよせんせー。 「ベットがもう空いてないのよ帰ってくれる?」 「ベットが無いからって追い返すのか」 「そうよ!」 「う、おぉおお…何か言い切られたし」 帰れ馬鹿!なんて冷たく言い放たれてこの人は本当に保健の先生なのか疑った。何だよ、前に倒れた時は優しく介抱してくれただろっ 「キモいわ」 「がびーん」 「古いわ」 「うええ…」 ぐしっと涙を拭う真似をしてから、とりあえず無理矢理保健室に入ると近くの椅子に腰を下ろした。先生があからさまに嫌な顔をする。どうした、何か不満があるんか、ん? 「お前の存在が、」 「うん」 「不満だ」 「そんな。マリコ冷たい」 「マリコ言うな蹴散らすぞ」 マリコと言うのは先生の名前だ。マリコはどうしてこう情緒不安なんだ。どうでもいいが私にぶつけるのはよしてほしい。やれやれと肩を落としているとマリコは私に体温計を差し出した。一応保健の先生の端くれなんだねって言ったら殴られた。とりあえず体温計を挟んで私はカーテンで囲まれて見えないベットに近づく。 「ちょっと、じっとしてなさいよ」 「ベットを占領してる奴の顔面拝もうと思って。誰だ殴り飛ばしてやる」 「おい」 ジャッとカーテンを開けると銀髪と目が合った。 おはようさん、って何してんの君。しばらく仁王を見つめて固まっていたが後ろからカーテンをめくる音が聞こえて振り返ると、もう一つのベットに予想通り丸井がいた。やだ、DS持ってるよこの子。 「よ!やっぱか」 「マリコこれはどういうことだ…!」 ぴぴぴと体温を計り終えた事を告げる音に体温計を掴んでマリコに向き直る。彼女はだって、と口を尖らせた。何がだって、だ。 「私面食いなのよ!」 「知らねえよ」 やばいな、私がツッコミたくなる人はソノちゃんに続いて二人目だ。 マリコはこんなカッコイイ二人に迫られたらベットを貸すしかないでしょっなんて睨んできた。な、何だと…!? 「迫ったのかおい!」 「いや全然」 「ベット貸してって言ったらすぐ貸してくれたし」 「マリコ!話が違、」 「うるせえマリコマリコ言うなこの電波!」 「でん、…!?」 ぶっと丸井がふきだして、何かムカついたから近くに落ちてた(正しくは脱いであった)丸井の上履きを蹴る。スパーンと殴られた。いい音すんな私の頭。 「静かにしんしゃい。寝れん。は俺のベットにくればええよ」 「なん、は!?ちょい待ち仁王!」 「え、いいのー?」 「お前少しは躊躇えよ」 丸井に腕を掴まれて引っ張られる。俺んとこ来いって。えー。仕方ないと丸井の方に行こうとしたら今度は仁王に腕を掴まれた。え、何これ。 「ブン太ー俺が先に言ったんじゃけどー」 「知らねえよ、俺の方がと仲良いから」 「うらやましいわ!…!ハーレムよ、ハーレムだわっ」 私としては女の子のハーレムの方が嬉しいんだけどなあ。 とりあえず仁王と丸井の間をとって真ん中に座り込む。仕方ないから私ここにいるよと言うと二人は手を離してくれた。 マリコに体温計を返そうと温度を見た瞬間私は固まる。 「マリコどうしよう私熱が50度もある」 「その体温計イカれてるんだよ騙されてやんのばーか」 「君もう何がしたいの」 息をついた私はプレゼントだよと丸井に体温計を渡すといらねえよと投げ返された。いやはや世の中は世知辛いね。 うん、…うん、 …もう自分で言っててわけわかんないや。 イカれた体温計、の巻 (そろそろ梅雨だな)(赤也の髪が心配だね) 春の記録へ もくじ つぎ→ ---------- こんなくっだぐだな感じで夏の記録スタート 110319>>KAHO.A |