connect_09繋がって いられない 腹減ったし喉も渇いた。文句を言いながら俺と丸井先輩とジャッカル先輩っつーいつものメンツ(仁王先輩は今いねえけど)で食堂までの道のりをダラダラと歩く。いちいちうるせえなんて丸井先輩が俺の頭を叩くのと同時に俺は校内に設置してある自販の前のを視界に捕らえた。 「あ、先輩じゃん」 もう情景反射。見つけたら声をかけるようになってるらしいぜ俺。陽菜の隣に友達らしき女がいることなんて気にせずに彼女に駆け寄ると、はあからさまに嫌そうな顔をした。(なんで、) 「何」 「…何って、え」 見つけたから声かけました、じゃ、駄目かよ。てか何でそんな冷てえの。いつもなら「どうしたワカメー」とかぐらいの反応は返してくる、よな。予想外の反応に正直かなり戸惑っていると、助け舟のつもりなのか丸井先輩が一緒に飯でも食わねえ?なんての腕を掴んだ。 「いや、もうと食べたし」 「ご、ごめんね丸井君」 バッサリと言い放つに対して後ろから申し訳なさそうに出てきたのは多分の友達で、流れ的にとかいう奴。どっかで聞いた名前だと頭ん中で検索かけたら前に佐熊がそんな名前出してたような事を思い出した。なんだっけな、…あ、そうそうだ。 つーかあの時佐熊が何か引っ掛かるような事言ってたけどなんだっけな。 「大丈夫大丈夫奢ってやるし。ジャッカルがさ」 「おい」 「てかそれってどこも大丈夫じゃないよね」 「は?平気だろ。飯ぐらい付き合えって」 「だからもう食べましたー」 言い方が良くないと言うようにがの腕を掴むがはツンとそっぽを向いたままだった。あああもうマジ何で。何でそんな。 「昼飯2回食うくらいへっちゃらだって」 「君がね丸井君。君がね」 そこまで言われると、流石の先輩もちぇ、なんて口を尖らせる。ああ諦めやがった。心の中で先輩頑張れとかちょっと思ってたりしてなくもなかったのによ。丸井先輩使えね。マジ使えねえ。自販を見つめるを見ていると頭に丸井先輩のパンチを食らった。何スかっ 「いや、何か腹立ったから」 「えええすっげー理不尽」 「全然。つか赤也今丸井先輩様に失礼な事思ったろ」 「思ってないッスよ。丸井先輩マジ使えないとかイテっ」 「思ってんじゃねえか」 うわこええ。丸井先輩こええ。2度殴られた頭をさすりながらもう一度を見ると、彼女はちらっと俺を見た。まだ何かあるのと目で言っている。いつもゆるいオーラを纏ってると思ってたけどこんなに拒絶されるとか。(マジ、ないし) 「…何でそんな冷たいんスか」 「君が、『繋がらない』から」 出たよ。何その『繋がらない』って。ムカつくって言ってんじゃん。何でまた言うかな。マジ有り得ねえ。 ジロリと睨みあげる俺に丸井先輩がもう一度頭を叩いた。やめろと言ってんのは分かっけど先輩はムカつかねえの? 「ちゃん、それは言いすぎ」 「だって」 「ちゃん」 「ごめん」 反省の色なし。 別にいいッスけど、その『繋がる、繋がらない』って何だよ。何かある度に言われると腹立つ。しかも意味的に当て嵌まるのが俺だけみたいな言い方だし。は、何。俺が仲間はずれなわけ。おい。 「…、それはっ」 「おー切原氏じゃないすかあ」 「…佐熊」 「あら、何やら不穏な空気っすね」 の言葉を遮ったのは佐熊で、彼女はまあ立ち話も何だからとか言っては恋たる彼氏のまっずいジュースを出した。何で立ち話もなんだったらこれが出てくんだよ。 「いらない。私教室戻る。行こ」 「あ、うん」 行っちゃったし。スタスタと歩いていくから佐熊に視線を移すと、彼女はいつも通りやる気のなさそうに俺を見つめて、よくやるっすねと呟いた。 「…別に。アンタこそ神出鬼没ですよね」 「私は切原氏が玉砕するのを楽しみに待ってるんでー後つけてた」 「ひっでえなお前一回潰れればいいんじゃないスか?」 「最近のマイブーム」 「知らねえよ」 「ははは」 はははじゃねえよマジ潰すぞ。無表情で笑ってるところが余計ムカつく。で、何で割り込んで来たんだアンタは。つけてたんならあのタイミングでは普通入ってこねえだろ。むしろ玉砕待ちなら見届けるんじゃね。 俺にしては冴えてる事を言うと、急に佐熊は目を細めた。 「丸井氏がぜぇんぜぇん空気読めねえからっすよー」 「…」 丸井先輩が表情を曇らせた、というか申し訳なさそうな顔をした。冷ややかな視線に丸井先輩は(もちろんもはや空気に等しいジャッカル先輩も)顔を引き攣らせる。 「それは、まあ、悪かっ、」 「丸井氏も知ってるっすよね。『繋がる』意味」 俺を一瞥しながらずずっとジュースを啜った佐熊は丸井先輩の返答も待たずにため息をついて歩き出した。 (違うね。君は端から繋がっていたことなんて、)(ない) もどる もくじ つぎ ---------- そろそろ核心に迫る、かも。 110509>>KAHO.A |