えせ関西弁野郎こと忍足侑士のクラスに乗り込んで、の机にドンと手をつくと彼は読んでいた恋愛小説から顔を上げて私を見た。そしてあの低音エロボイスで一言。 「何がや」 なんかもう侑士の癖に恋愛小説読んでることも、そしてそれが私もハマっているものであるということも、コイツが伊達メであることもすべてムカついていた私はもう一度机に手をつき直すと少しだけ周りを気にしながら侑士の耳にぽそりと呟いた。 「向日のこと…!」 「…あぁ、まだ悩んどんの?クリスマスプレゼント」 「…っ…だって…何が欲しいか分かんないんだもん……っ」 口を尖らせていると侑士は本を閉じて息をついた。「自分でもあげてみたらええやん」ってキモ!侑士キモ!マジで言ってるところが残念すぎるよ侑士。だいたい付き合ってもないのにそんなこと言えるかい! 「侑士は向日のダブルスペアでしょ?欲しいものくらい分からない?」 「自分かて、岳人の幼なじみやん」 「そーだけど…」 分からないから聞いてんの!凄い困ってんだよって膨れたら侑士は頬杖をついて「そやなあ」と呟いたから私はコクコクと頷いた。 「背中に羽が欲しいっちゅーてたわ」 「ホント使えないわねアンタ」 「もういっそ俺と付き合わへん?」 「却下!」 ふん、と鼻を鳴らした私は侑士が本当に頼りにならないことを悟りH組を後にした。 マジで何か考えないとまずいのに。なんたってクリスマスはもうあと5日なのだから。 結局馬鹿侑士のせいでその後の授業中、ずっと「背中に羽」という言葉が渦巻いていて一向に良い案が浮かばないまま放課後がやってきてしまった。 「帰ろーぜ」 「あ、うん」 ぼーっとプレゼントについて考えていた私は、向日に慌てて笑顔を向けると、向日は表情を曇らせた。あれ、怒ってます? 「…って最近侑士と仲良いよな」 「…え?えええナイナイ!」 いきなり何でそんなこと言い出すんだ、と思えばあの馬鹿侑士があることないこと吹き込んだらしい。確かに最近一緒にはいるけども、あんな馬鹿の言うこと信じるなんて。まあダブルスペアだもんね。もう引退したけど。 「だって休み時間ずっと一緒にいんじゃん」 「えー…いや、それは」 違うんだけどなあ。と呟けど向日は「クソクソ侑士め!」なんて口を尖らせている。こんな表情もかわいいですがそんなこと言ったら怒られそうなので心の中にしまう。 「お前が侑士の事好きなら別にそれで良いけど、俺は」 「ちょっと向日!誤解してる!」 私があのえせ関西弁を好き?ありえないありえない!だって私は向日が好きなんだもん。 「…あのね、私が休み時間に侑士のとこいってたのは、向日の相談してたの」 「…え?俺?」 「向日はクリスマスプレゼント何が欲しいと思うか聞いてたんだから」 そう言うと向日は脱力したようにため息をついてツカツカと私に歩み寄ってきたから私は思わず後ずさり。でもすぐ後ろに壁があるわけでして。 「あのな、そんな事は俺に聞きゃいーんだよっ」 「だってそれじゃ面白くない…」 「お前が侑士と話してる方が面白くない!」 お前が好きなんだよ!とちょっとだけ恥ずかしそうに頬を赤くして言われたから何か目の前が霞んで見えた。うわ、むっちゃうれしい。私だって好きだよばかやろう。 「だから、クリスマスプレゼントはあれな、あれ」 「…あれ?」 「キス一回!…じゃつまらないから沢山!」 「ええええ!?」 「やなのかよ」 その聞き方はずるいよ向日、と頬を膨らますと向日は人差し指をビシと私の前に突き出して「あと、」と続けた。「名前で呼べ」ってえええ! 侑士が名前呼びじゃムカつくらしいからそれも直せって言われた。なんかもう、可愛い。 「俺は何かもらうより、にそうしてもらう方が全然嬉しいぜ」 「う…分かったけど、」 それは25日から適応されるんだよ、ね?そう聞いたら顎に手を当てた向日がニヤリと笑ったから冷や汗がぶわっとふき出した。嬉しい。嬉しいんだけど、やっぱり恥ずかしいじゃん! へらへらと一生懸命笑顔を浮かべていたら向日が壁に手をついた。 「前払いもあるに決まってんじゃんっ」 君と零距離 (…名前も呼んでミソ)(…が、岳人)(よし合格!) -------- うわああああごめんなさああい!平謝りです泣 初めて書いたよお母さああん!← 書いてる時喋り方が全然分からなくて…っブン太の喋り方しか頭に浮かんでこなくて…っ 書きながら「うわ超ブン太だよ」と焦っていました。 すいません。フルボッコにしてやってください。 100110 >>Kaho Amamiya ←BACK |