別にがいいならそれで良いけど、楽しいならそれで良いんだけど。
いやでもちょっと俺は面白くない。本当はと2人で食べるはずだったケーキにぶすりとフォークを刺して口へ運ぶ。
うめえ。俺が作っただけある。天才的。

ケーキに顔を綻ばせながらチラリと顔を上げると赤也とか仁王とかと楽しそうにマリカーしてるが目に写って、悔しくなった俺は再びケーキを口に放りこんだ。


「赤也マリカー強いねー」
「へへっ先輩もなかなかっスよ」
「俺も負けてられんのう」


赤也に近すぎんだよ。仁王も離れやがれってんだ。

はマネジャーじゃないくせに何故かテニス部の奴らといることが多い。というかいやな事に好かれている。
だからか普段はテニス部の奴らと結構絡んだりていて、2人になるということはめったになかったから、付き合って初めてのクリスマスくらい、2人でのんびり過ごせりゃいいかなあと思っていたけど、そんな俺の淡い期待は無惨にも崩れ去ったわけだ。
昨日の夜、タイミングが良いのか悪いのか(俺としては天才的に悪い)、真田から電話があったのだ。
真田からの電話に正直ビビりつつも出ると、内容は明日(つまり今日)クリスマスパーティーをやるというもので、…マジで断りたかった。
仁王とか赤也とかなら『無理』の一言で片付いたが相手は真田だ。言えるわけない。よりによって真田かよ。しかもはOKを出してるらしくて俺も渋々頷いた。それにパーティーの場所は俺の家だし、柳か幸村あたりに謀られたと思った。


「ブン太機嫌悪いね」
「…別に」
「邪魔しちゃってごめんね」


そう思うならクリスマスパーティーなんて誘わないで欲しい。でも恐ろしくて幸村にそんなこと言えないから俺は何も言わなかった。

真田に怒られ逃げ回る赤也を見てはけらけら笑っていて、つい俺も笑顔になる。


「…ま、が楽しそうなら良いし」


心の中では全然割り切れてねえけど、言い聞かせるようにそう呟いて俺はジュースを取りに行こうと立ち上がった。すかさず赤也が声を上げる。


「あ、俺コーラ飲みたいっス」
「ねえよ。つか遠慮しろぃ」
「俺は普通のお茶を頼む」
「じゃあ俺もお茶で」
「…柳と幸村まで」


何なんだコイツら。
苦笑した俺はダラダラと台所まで行き、冷蔵庫を漁る。コーラなんてねえっつの。代わりにマズすぎて誰も飲もうとしない青汁でも出してやろうかとコップを用意していると、が隣の部屋から出てきたようで、ひょっこり台所にやってきた。


「手伝うよ」
「ん、サンキュ」


お菓子も持ってこうかと話していると隣の部屋から真田の怒鳴り声が聞こえてはクスリと笑った。


「楽しそうでいいなあ」
「ま、ちょっとうるせーけどな」
「あはは、そっか。でもブン太楽しそう」


がにっこり俺に微笑みかけるから何かもう無性に抱きしめたくなる。
可愛すぎんだろぃこんちくしょう。


「アイツらといると確かに暇はしねーよ。でも、」


手に持っていたコップを置いて横にいるの頭にそっと手を回す。
はすっと目を閉じて、俺はキスを落とした。


「ホントは今日くらいと2人が良かったっつーか」


「てか赤也とか仁王と仲良く話しすぎ」っての額にでこぴんを食らわすと頬を赤らめたは頬を赤くしたまま少しだけ膨れた。うわむっちゃ可愛いし。
そう思ってたらすぐに照れたように笑って、俺に抱き着いた。




「もう、しょうがないなあブン太は」






独り占め、したくなる
(ラブラブっスね)(ふふ、邪魔しちゃだめだよ赤也)



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遅くなってごめんなさい。ヒロインを大切にするブン太君です。
ヒロインがこんな女の子らしいの初めて書いたかもしれない。
新鮮でした!
リクエストありがとうございましたああ!
100109
>>Kaho Amamiya

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