「あれ?雨やんだ・・・」





登校途中、

パラパラと傘に当たっていた雨音が不意に消えて。


不思議に思って傘をどけてみると

目の前に広がっていたのは、



輝く太陽、真っ青な空。


さっきの雨が、嘘だったみたいに・・・



「おーっす!」

「わっ!」

ぽーっと空を見上げながら歩いてたら、

急に背中にボスッという衝撃。


それと共に聞こえてきた声。

私の、大好きな声。




「ブン太!」

 彼・・・



・・・そう、丸井ブン太。




ブン太は自転車に乗ったまま、私の横をスーッと通り抜けた。



さっきの「ボスッ」は、すれ違いざまに、ブン太が私の背中を叩いた衝撃だ。

きっと。



「朝練頑張ってねーっ!」


走っていくブン太に声をかければ、



「おー!また昼会おうぜー」




そんな言葉と共に、大きく手を振られた。




遠ざかっていく、ブン太の背中。


さっきよりも、なんだかほわほわした感覚。


ブン太と話せるだけで、こんなにも嬉しいんだ。

大好きだから・・・






昼。




私は友達と一緒にお弁当を持って、屋上に行く。





「よっ、!」



ギィ・・・と音を立てて屋上のドアを開けた先には、

笑顔のブン太が待っていた。


数ヶ月前くらいから・・・


私はこの屋上で、お弁当を食べている。


というのも、きっかけは友達の



は、男子テニス部のマネージャーをやってる。


で、が“男子テニス部レギュラーと一緒にお弁当を食べる”

ってことになって・・・


私もご一緒させていただいたわけだ。


そのおかげで、レギュラーの皆とは顔見知りになった。

初めはもっと近寄りがたい人たちだと思ってたけど、

接してみると、皆優しい人たちばっかりでびっくり。



その中でも一番仲良くなったのが、ブン太なんだ。



皆でお弁当を囲んで、話しながら食べ始める。



あらかた食べ終わった頃、

すでに完食していたブン太が、不意にスッと立ち上がった。


かと思うと、屋上の手すりの方に歩いていく。


何だろう・・・と思って、私もブン太の後を追った。


「ブン太?」


とりあえず、ブン太の隣に立ってみる。



「どーしたの?」

「空」

「へ?」

「キレイだなーと思った」

「空・・・わぁ・・・!」


言われて見れば、

なるほど眼前には、朝よりも青々とした大空が広がっていた。


時々吹く風に流されるまま、雲はゆっくりと動いている。


「ホントだ、キレー・・・」



にしても・・・ブン太でも“空がきれい”なんて思う事、あるんだ。



そのまま言えば、「失礼だな、お前」なんていう、

笑いながらの言葉が返ってきた。


「始めは雨降ってたのにね〜」

「だなー」



ちらり、と横目でブン太を見れば


きらきら照りつける太陽のおかげで、

風になびくシャツが、眩しい位に真っ白だった。



「腹へったー・・・」



何分、そうしていただろうか。



突然のブン太の言葉に、がくっと崩れそうになる。



「えぇ?さっきお弁当食べたじゃん!」

「足りねぇんだっつーの、あれだけじゃ!」

「購買・・・」

「・・・までは遠いだろぃ?」

「あー、だよねぇー・・・んー・・・あ!」

「ん?」

「私、飴なら持ってるよ、飴!」


ひらめいて、スカートのポケットの中を探ると・・・



あった!




「食べる?腹の足しにはならないと思うけど・・・」

「貰う!」




即答。



ちょっとおかしくなって、笑いながらその飴を渡すと、

ブン太は笑顔でそれを口に入れる。




「サンキュー」

「いえいえ」




こっちを向いたブン太と目が合って、
どちらからともなくへらっと笑う。




ブン太の髪の毛の“赤”が、

シャツの白に負けないくらい、眩しくてキレイだった。


目の前には、青空。


 と、
大好きな、ブン太。


「明日も一緒に食おうな、弁当」

「うんっ」


君のその言葉が、嬉しくて。





ブン太といる時はね、


いつだって、きらきら輝いてるんだ。



きらきら

−−−−−−→
七色空模の沙羅さんに相互記念でいただいちゃいました。
本当はいただいた日に飾らせていただこうと思っていたのですが、背景はそのままにしようか、変えてしまって良いものかうぬうぬ考えていたら、遅くなってしまいました汗  すいません。
まさに「きらきら」というタイトルがふさわしいお話だと思います。私が妄想するときのブン太もこんな感じで素敵オーラはなってます笑
ヒロインのブン太と一緒にいる時間がどれだけかけがえのないものか一つ一つの描写でとても伝わってきます。「どちらともなくへらっと笑う」という部分はなんだか幸せな思いが詰まってて良いなって思いました^^

あ、最後に、小説の背景なんかを私が無断で変えてしまったので、是非七色空模の沙羅さん宅でも読んでみてください。本元は音楽もついてて素敵ですので!
110829…→ 天宮