この俺が?んな訳あるか。
でも、現実はそう甘くはないもので。




同じクラスメイトの“  ”。
今俺の中で急成長を遂げている悍ましい存在。感情。形。
時として ソレ は嬉しさだったり楽しさだったりを生み出す。
時として ソレ はじわりじわりと自分とは思えないくらいのどす黒いものを生み出す。




これが好きという感情なら、正直面倒。どっかいってくれ。
なんて思っちゃいるけど、彼女の前では骨抜きそのもの。
あぁ男はなんて愚かな生き物なんだろう。
男の嫉妬もサムいけどそれ以上に、恋をしている男が一番見苦しい。
恋する乙女は綺麗になる?
だったら男は好きな奴守れるくらいの強さが手に入るのか?
そんなの聞いたことがない。
てか、そーゆーのキモチワルイ。
とか言ってる俺が一番キモチワルイんだけど。






一番お気に入りのメーカーのガムをポケットから取り出し、口に放り込む。
もちろん、銀紙は捨てない。
つーか、捨てる奴の真意が分からない。
ガムを捨てる時はどーすんだよ。
ポイ捨てとかまじあり得ねー。
人の迷惑考えろっての。






 「お前さ、ガムは銀紙に包む派だよな?」




 「俺?」




お前しかいないだろぃ。




 「俺は・・・・・・そのまま捨てるかもしれない」




 「は?お前それまじで言ってんの?」








あり得ないあり得ない。
そのまま捨てるなんてガムに触るのやだし。
捨てると他のゴミとくっつくし、第一人の噛んでたもの見たくねーし。







・・・・・・ああまた始まったよ。
この感じ。
この心臓が波打つ感じ。
いつも不意打ちだからなんかムカツク。






 「お、おい」




あーもう。
なんで話しかけちゃうかな。
何話すのか決まってんのか?






 「お前、ガムは銀紙に包む派?」




どうでもいい。
まじどうでもいい。
こんなことよりもっと他に聞くことあるだろぃ。






 「・・・・・・包む派かな」




自己嫌悪。
こんな情報いらねーだろぃ。
聞いてどーすんだよ、俺。
しかも、真面目に答えてくれちゃってるし。






 「でも、銀紙をなくしたらティッシュとかに包むな」




ジャッカルとは大違いだ。






 「・・・・・・それだけ?今忙しいからまたね」




ああ、ほら行っちゃった。
手を振って職員室の方へ行ってしまった。
そんな ちゃんを見えなくなるまで見つめた。
















部活が終わった後、たまーにだけど ちゃんを見ることがある。
なんでか考えたことなんてなかったけどそういえばなんでだ?
なんかの委員会入ってたっけ?
やべ、考えてみると俺 ちゃんのことこれっぽっちも知らない。
クラスメイトということと、ガムは銀紙に包んで捨てること。






 「何じゃ、ブンちゃん。恋煩いか?」




 「なぁ、お前は恋煩いする男を面倒だと思わねぇ?」




 「・・・・・・こりゃ重症じゃ。かなりの」




・・・・・・前から変な奴だと思ってたけど、時たま的確なことを言うんだよなぁ。
確かに俺、重症だと思う。
ここまで真剣に考え事したの部活の事以来で。
今まで ちゃん知らなかったくせに。
ちゃんを知らなかった過去の自分に腹を立てたりもした。






 「今日はファミレスとか寄らないんスか?」




 「赤也、そっとしておきんしゃい」




 「・・・・・・どしたんスか?」




キッと隣の仁王を睨むと「おー怖」と小さく漏らし、上手く赤也の意識を逸した。
言っとくけど、お前の方が何百倍も怖いっつーの。




ふと前方を見ると、思いがけないサプライズ。
ちゃんじゃん!
俺は隣に2人とジャッカルや柳生がいるのを全く気にかけずに ちゃんの所に早足で駆け寄った。






 「よっ」




後ろから声をかけると、振り向きざまにびっくりしながらも笑顔で応えてくれた。
こんなこと考えるの変態かもしれないけど、めちゃめちゃ可愛い。
心臓が鷲掴みにされたように胸の奥がきゅぅぅってなって、
息苦しくなって、血が沸騰したように全身に伝わって熱を持ち始める。






 「部活帰り?」




 「そんなとこ。あんな野郎ばっかと帰ったって面白くねーんだよ」




なんかさり気なく恥ずかしい発言してねぇ?
今まで噛んでたグリーンアップルのガムの味が分からなくなってきてるような気がする。
汗すらかいてきそう。






 「楽しそうでいいよね」




無邪気な笑顔を向けてきた。
だーかーら、可愛いんだってば。
んな顔してると襲うぞ?
とか、そんな余裕どこにもないんだけど。
それでもあくまで平然を保った。
保たれていたかは別。






 「毎日うるせーんだよ」




 「丸井くんも変らないでしょ?」




その言葉にムッとしたけど、同時に嬉しかった。
確かに俺はお世辞にも静かとは言えない。
見てはくれてんだなって思ってちょっとテンション上がった。
でも、




 「嘘だよ。怒らないでね」




両手を前で振って否定した。
あーもうなんだよこれ。
そんなことで怒るとでも思ってんのかよ。
それとも確信犯なわけ?
それでも俺はいいけど。






 「それよりさ、その、俺のことどー思ってんの?」




うわぁ、なに言ってんだ。
ちゃんは、え?というようにこちらを見る。






 「どーって・・・・・・どうなんだろう?具体的に?」
 「具体的、に・・・・・・好きとか嫌いとか、友達・・・・・・とか、すっ好きな人、とか」




今最高に格好悪い。
恥ずかしい。
自分で言ったくせに恥ずかしい。
ちゃん俯いちゃったし。






 「す、」




 「?」




 「私、」




 「私?」




静かに ちゃんの答えを待った。
別に告白したわけじゃないのに緊張してる。
心臓がうるさいってよく聞くけど正にそのとーり。






 「私、あ、あの、あっちだから・・・・・・」




 「は?」




 「また、明日ね」




早歩きで ちゃんはその場を去った。
瞬間、隣にあった温もりがふっとなくなった気がした。
に、逃げられた!






でもかなり動揺するってことは脈あり、だろぃ?
とか言って、俺が ちゃん以上に挙動不審で動揺してたってのは後に仁王に聞かされたことで。




明日、 ちゃんが真っ赤な顔して俺がした質問を返してくれるってのはまた別の話。


























酸性生クリーム


(もっと教えてよ、君のこと)













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こちらは相互記念に木苺工房の天宮かほ様に捧げます。
ど、どうですか?
テーマが青春なので、青くさいお話を書いてみました。
そして久々のキャラ視点。口調が荒いですね。
とにかく楽しく書かせていただきました!
ありがとうございます^^
そしてこれからよろしくお願いします!!


ここまで読んでくださりありがとうございました。


10/04/15  ui

 


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わわっこんな素敵な作品ありがとうございました!!
読んでいる間、ニヤニヤが止まりませんでしたよ。
ちゃん付けにやられましたね(笑
緊張しているブン太も可愛すぎて天宮はもうノックアウトです^^

本当にありがとうございました!!
これからもよろしくお願いしますっ

                                        天宮